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事例2 退職金は、通常、退職後1ヶ月後くらいに支払っていたが、ある退職者から7日以内に支払えと言われ、結局、支払うはめに・・・

 小売業を営んでいるB社の事例です。

 B社に勤めるAさんは、今月末日で退職することになっており、退職後には自分で事業を始めるようと考えていました。Aさんはその開業資金として退職金をあてることにしてたため、自分の退職金が、いつごろ支払われるのか疑問に思い、会社の総務に確認したところ、「だいたい1ヶ月くらいだが、はっきりしたことは言えない」との回答でした。そのようなあいまいな回答では困ると思い、会社の就業規則を見たところ、退職金の支払時期についての明確な記載はありませんでしたが、次のような記載があることに気付きました。

 第○○条 
 従業員又はその収入によって生計を維持する者が、次のいずれかに該当し、その費用にあてるため、本人から請求があったときは、その都度、既往の労働に対する賃金を支払う。
 ただし、第4号の場合は、請求の日から7日以内に支払うものとする。
  @出産、疾病又は災害の場合
  A婚礼または葬儀の場合
  Bやむを得ない理由によって1週間以上帰郷する場合
  C従業員が退職または死亡した場合

 この規定から、Aさんは、退職金も賃金の一種であるからCに該当し、請求すれば7日以内にもらえるはずだと考えました。そして、退職の日となり、A氏は、早速、退職金の支払を7日以内に行うことを会社に求めたのです。
 B社は、通常、退職金を退職後1ヶ月くらいを目処に支給しており、今回もそのつもりで準備を進めており、また、今回は、退職金の額が大きいこともあって、7日以内に多額の退職金を支払うことは到底、無理だったため、Aさんには「1ヶ月後に支払う」と告げました。
 しかし、Aさんも様々な開業に伴う支払の時期が迫っていたため、断固として会社側からの申出を拒否し、もし支払わなければ、労働基準監督署に駆け込むと言ってきました。
 結局、B社とAさんは何度も話し合いを重ね、退職金の半分を退職日から7日後に支払い、もう半分を1ヶ月後に支払うことになりました。

 ポイント
 労働基準法第23条には、「使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があった場合においては、7日以内(金品に争いのある場合には、異議のない部分について7日以内)に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称のいかんを問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない」という定めがあります。
 退職金も労働協約や就業規則で支給条件が明確に定められていれば賃金みなされますので、上記条文の適用を受けることになります。

 ただし、退職金は、法律によって義務付けられたものではありませんし、通常の賃金とは違った要素がありますので、一律に扱う必要は無く、退職金規程などにその支払時期が定められていれば、その定めた時期に支払えば足りるとされているのです。しかし、退職金規程に支払時期の規定が無ければ、労働基準法第23条の適用をうけることになり、従業員からの請求後7日以内支払う必要がでてきます。

 ですから、就業規則や退職金規程の中で支払時期を明確にしておかないと、7日以内に多額の退職金を支払わなければならなくなることも予想されますし、退職金の支払時期については就業規則の相対的必要記載事項とされていますので、退職金制度がある場合は退職金の支払時期を就業規則に必ず定めなければなりませんので、支払時期を明確に定めておくことが非常に重要となってきます。




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