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事例4 退職金を支給した後に懲戒事由が発覚した。退職金を返還させたいが・・・

 自動車部品製造業を営むD社の事例です。

 D社に30年以上勤めてきた経理担当のEが、定年退職することになりました。Eは、日頃の勤務態度もまじめで優秀な社員でした。
 D社は、Eの退職にあたり、退職金規定どおり、約1000万円の退職金を退職から1ヶ月後に支給しました。しかし、その支給からしばらくして、Eが当時の立場を利用して会社の資金を私的に流用していたことが発覚したのです。経理関係は、すべてEに任せっきりだったため、その発覚までにはかなりの時間がかかってしまいました。
 D社の社長は、Eに資金の流用が懲戒事由に該当するとして、退職金の返還を求めましたが、それは不可能でした。
 それは、D社の退職金規程が、次のようになっていたからです。
 「勤続5年以上の従業員が退職し、又は解雇されたときは、この規程に定めるところにより退職金を支給する。ただし、懲戒解雇された者には、退職金の全部又は一部を支給しないことがある。」
 上記の規定により、従業員を懲戒解雇にした場合には、退職金を不支給とすることは可能です。
しかし、懲戒解雇は、あくまで退職前の社員、つまり、会社と雇用関係にある者に対して、行うものです。ですから、退職後に懲戒解雇事由が発覚した場合には、すでに会社との雇用関係が終了していますので、改めて懲戒解雇とすることは不可能となります。上記の規定のままでは、懲戒解雇ができない以上、退職金を支給しなければならなくなります。

 ポイント
 退職金の支給制限については、退職金規程に「懲戒解雇された者には、退職金の全部又は一部を支給しないことがある」と定めている場合は、多いと思います。しかし、この条文では、上記の例のように退職後に懲戒事由が発覚した場合に、退職金の返還を求めることができなくなります。
 ですから、例えば「退職後に、在職中に懲戒解雇事由に該当することが発覚した場合、既に退職金を支払った場合は、その金額を返還請求できるものとする」という一文を加えることで、上記の例のような事態が発生しても、退職金の返還を求めることが可能となります。




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